あめのせい



 雨だ。
 聞いてない。がっかりだ。
 (だって天気予報では快晴と言っていたのに)

 今日はウン日ぶりに洗濯機を回そうと思っていたのに。
 いいかげん着る服がないじゃないかばかやろう。
 (ばかやろうは空のせい? 自分のせいわかってる)

 学校は休み。バイトも休み。
 とくべつ楽しみにしていたわけじゃないけれど、
 「洗濯」しか今日の予定がなかった僕はちょっぴり途方に暮れる。
 (……『そして僕は、途方に暮れる』)

 さて。
 どうしたものか。

 どうもこうもなく、とりあえずは洗顔。歯磨き。
 雨だから外に出たくない。
 仕方なくゲーム。
 (やばいこれいつ借りたっけ?)
 仕方なくポテチ。
 (しかも増量中)
 仕方なくパンツ一丁。
 (洗濯物増やしてもしょーがないのだ)
 なんだこの一日。
 (でも意外と楽しかったりする)

 なんだか昔、親が旅行に行って、
 初めて一人で留守番したときを思い出す。
 わけわからんわくわく感。
 「一日一杯まで!」と決められたコーラをがぶ飲みしたり、
 部屋散らかしっぱなしで四六時中ゲーム三昧。
 風呂の沸かし方なんてよくわかんなくて洪水になったっけ。

 当然帰ってきた親には怒られるわけだけど、
 「してやったり!」ってわけわからん根拠のない満足。
 あー。子供満喫。
 (大人満喫のつもりで)


 四時だ。夕方の。
 何もしてない。びっくりだ。
 (どうやら昼寝の域を超える昼寝をしていた模様)

 部屋汚いし自分パンツだしあーテレビ付けっぱなしだ何じゃこりゃ。

 まあ、仕方ない。

 すべては雨のせいなんだから。
 (そして雨のおかげ)